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編集後記
横山 巌
pp.771
発行日 1978年10月10日
Published Date 1978/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104059
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今月の特集として「片麻痺のリハビリテーション」をおとどけする.最近の10年間に片麻痺のリハならびにその周辺におこった大きな進歩といえば,まず,脳卒中に関しては,その診断にCTが導入されたこと,ならびに脳外科手術の進歩発達であり,片麻痺のリハに関してはsynergy movementを中心とする機能回復の段階づけ,facilitation techniqueの普及,失行・失認に関する知見の集積,変形に対するphenol block,腱延長術・移行術等の外科手術の導入などがあげられるであろう.
今回の特集でとりあげたテーマも上記の諸項目とならぶ大きな問題点である.石田暉・千野直一氏による「Biofeedback治療法」はまだ最終的な評価が下されていない大きな可能性をかかえた新しい治療法である.固有感覚の障害や失認に有効であるといわれていることは,片麻痺のリハにおける大きな武器になりうる可能性をもっているものといえよう.石神重信氏らによる「プラスチック短下肢装具」では,従来型の短下肢装具の領域をかなり大きく蚕食しつつあるプラスチック装具についての豊かな経験からその長所と短所が詳しくのべられている.福井圀彦氏による「運動失調症」,山之内博氏による「けいれん発作」,宮崎一興氏による「排尿障害」はいずれも片麻痺のリハにおける重大な合併症でありながら,リハの立場からまとめられたことの少ないテーマである.日常,片麻痺のリハ診療にたずさわるものにとっては良い指針によるものと思われる.
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