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編集後記
横山 巌
pp.947
発行日 1975年11月10日
Published Date 1975/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103439
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今月は失行症・失認症の特集をおとどけする.失行症・失認症は脳卒中をはじめとする脳障害のリハビリテーション(以下リハと略す)において,最近,識者の関心が著しく高まっているテーマであり,今春の神戸での日本リハ医学会においても,セミナーのテーマとしてとりあげられている.今回の特集ではその際の主演者であった上田氏,鎌倉氏,指定発言者の福井氏のほか,大橋氏,大土井氏にも加わっていただいて,さらに充実した内容となった.リハ医学会でのセミナーの演者であったかたがたもセミナーの際とは多少異なった角度から筆をとっておられるので,セミナーを聴かれた読者にとっても興味深いことと思われる,大橋氏は失行症・失認症の考え方の成り立ちについて,先人の研究のあとを追っての詳細な歴史的な紹介をされた.上田氏は失行症・失認症患者のリハについての考え方に関して明確な路線を示された.福井氏は失行症・失認症における左右大脳半球の関与について,男女差その他の興味ある知見を紹介された.大土井氏は半側空間失認についての詳細な検査法の紹介と,診断基準の提案をされた.鎌倉氏は失認患者に対するアプローチの実際についての自験例を紹介された.いずれも価値ある論文であり,啓発される所が大であった.この特集によって失行症・失認症への関心がリハにたずさわるかたがたの間でさらに高められることを期待したい.
河邨氏の巻頭言は福祉とリハとの関係についての現在の歪みをするどく突かれており,その在るべき姿を示されている.
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