巻頭言
偶感――歩みきし道,そしてまた
菅原 正信
1
1秋田県太平療育園
pp.703
発行日 1978年10月10日
Published Date 1978/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104045
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海原に 航跡あわき船の見ゆ
行手はるけき 吾が道もかく 真沙
私が手足の不自由な子等と触れ合いを持ってからもう24年にもなった.教授の推めで勉強も不十分な状態なのに整形外科医として,五味重春現筑波大学教授の後任として,盛岡赤十字病院に赴任した時に始まる.私は岩手県生まれの人間である.面積の広いこの県は山地が多く,当時は交通も不便で貧しい生活をしている人も多かった.陸の孤島,日本のチベットと呼ばれる村も少なくなかった.そんな岩手にこられた五味先生は,多忙な診療の合間をぬって,ジープが巻ぎあげる悪路の砂ぼこりにまみれて巡回相談に出向き,数多くの肢体不自由児に接し,その実情を知るや,求めるものを満たしてやりたいという情熱から進んで肢体不自由児協会の仕事もされた.そしていろいろの対策を立てられ実行された.
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