保健婦の眼
偶感
pp.45
発行日 1953年5月10日
Published Date 1953/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200515
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スターリンが死んで,世界の耳目がこの巨星の落ちたあとのロシヤや世界の成行き如何に吸いつけられた形である.新聞やラジオの報導や観測に注意していると,私のような政治に疎いずぶの素人にも,群盲が象をなでているようにしか思われない.寸たらずの推量やたよりない希望的観測が右往左往しているようである.しかしこのバベルの塔の喧しさの底に,どの声もが漠然たる戦爭の予感におびえているように思われて,スターリンの死が,死という言葉以上に不気味に感じられるのである.何とか人間社会のことは人間同志がおだやかに話合つて円満に解決のつくように運ばないものであろうか?.
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