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まえがき
1952年,American Academy Orthopedic Surgeons(以下AAOSと略す)編でOrthopedic Appliances Atlasが出版された.その第1巻が装具編である.わが国でリハビリテーション医学が進歩する過程では,この書物がもとになって装具の用語が広まって行った.
一方,戦後間もなく施行された身体障害者福祉法,児童福祉法にもとづいて装具の名称が制定され用いられた.しかし,この名称は装具製作者がその価格を決めることを主眼においたもののようで,医学側からみると,装具の処方と必ずしも一致しないうらみがあった.
ここでその一例を示す.
ポリオによる左下肢弛緩性麻痺に,長下肢装具,膝継手リングロック,膝パッド,足継手±15°,足板,内反足用T-ストラップ,補高3cmを処方したとする.製作者側でその価格を算出するためにその当時の名称を用いると,装具の名称は膝・足関節用装具支柱つきとなり,価格を決めるためには,膝関節用装具固定保持用硬性,足関節および足用装具支柱付,2つの継手,2つの矯正装置(膝パッドとTストラップ)の4項目を用い,もし支柱にジュラルミンを用いた場合は加算するようになっていた.
このように,装具の名称は医学的な意味あいから決定されなければならないのはもちろんのことであるが,製作者にとっては合理的な価格を算出するのに便利な命名でなくてはならないものである.
以上の経緯もあって大幅な名称改正が行なわれ,昭和48年度から施行されたのである.これは装具の区分として下肢,上肢,体幹にわけ,その中に装具の名称をとり入れた.そして各装具の基本構造と附属品の組み合わせで,合理的にどんな装具でもひろいあげられるようにしたのである.この福祉法における装具の名称改正は画期的なもので,ここに至って漸くわが国に長下肢装具,短下肢装具といった今日われわれが耳なれた用語が用いられるようになった.
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