Japanese
English
研究と報告
老年者の膝関節機能
Functional Evaluation of the Knee Joint in the Aged.
岩倉 博光
1
,
谷岡 達男
2
,
八木 久夫
2
,
金森 正恭
2
Hiromitsu Iwakura
1
,
Tatsuo Tanioka
2
,
Hisao Yagi
2
,
Masayasu Kanamori
2
1帝京大学整形外科
2浴風会病院
1Department of Orthopaedic Surgery, Teikyo University School of Medicine.
2Yokufukai Hospital.
キーワード:
老人
,
膝関節
Keyword:
老人
,
膝関節
pp.127-135
発行日 1978年2月10日
Published Date 1978/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103935
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Ⅰ.緒言
老年者の日常生活動作能力を評価する時,立位歩行能力の程度はきわめて大きい役割をもつと考えられる.老年者の一日の生活時間をとり上げてみても,歩行,食事,着衣,入浴,用便といった動作の中で,歩行能力が他に影響することは予想以上であって,自主歩行が困難な場合に他の動作が自立することは老年者においてむしろ稀であった.すなわち老年者のADLはその自立歩行能力と深く結びついており,彼らのADL維持にはその歩行能力の維持をもって指標となすことができる場合が多い.
次に老年者の歩行能力を評価する場合に問題となることは,いわゆる老化に伴う一般運動能力の低下がどのように歩行能力の低下に関与するか分析しがたい点にある.たとえば中枢機能の障害と末梢の関節機構の解剖学的損傷とを区別して評価することは不可能である場合が少なくない.しかしながら,老年者の歩行障害の原因を求めて,中枢に著明な損傷を証明しない場合はもとより,神経症状が合併して存在する場合にもこれを改善するプログラムを作成する場合には,まず膝関節を中心に解剖学的機能評価を行い,リハビリテーションのスケジュールを立てることがよい結果をもたらすようである.
われわれは以上のような経験から,老年者の膝関節機能の評価を行って,とくに著しい中枢神経系損傷や内部障害をもたない老年者を対象にした膝関節機能評価法を検討した.そして幾度かの修正を加えたのち,評価表として膝関節に関するADL項目と解剖学的機能に関する項目を合わせて得点方式による表を作製した.今回ここにわれわれの試作した評価基準を示し,合わせてそれによって得た結果を報告したい.
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