特集 在宅リハビリテーション
イギリスの在宅障害者リハビリテーション活動をみて
上田 敏
1
1東大病院リハビリテーション部
pp.735-736
発行日 1977年10月10日
Published Date 1977/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103859
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この2月「日英医学シンポジウム」で来日したオクスフォードのDr. Nicholsと色々の話をしている時に,彼がふと真顔になって,「イギリスの医学はこの30年間に非常に変った.個人中心の医学から共同体中心の医学(community-oriented medicine)になったのだ」と言ったのが大変印象的であった.私は昨年ほぼ10年ぶりにイギリスを訪れ,3週間にわたってイギリス各地のリハビリテーション活動を見学することができたが,その時の最大の印象がそれだったからである.
リハビリテーションについていえば特にこの10年間の変化が著しかったように思われる.1965年と1967年に訪れた時にはイギリスのリハビリテーションを代表するのはStoke-Mandeville(脊損センター)とBobathであった.当時見学した老人病院はまだ収容主義が主流で,わずかにDr. Howellによりロンドン郊外に設立されたWestmoor Houseが老人の家庭復帰を促進するためのハーフウェイハウスとして地域に目を向けた活動を行っていたのが注目されただけであった.ハーフウェイハウスとならんで重要なデイ・ホスピタルについては,後にのべるように最近の統計でみれば当時すでに発展の初期にさしかかっていたことになるが,まだ規模も小さく十分注目されていなかった.
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