- 販売していません
- 文献概要
- 1ページ目
III.老人・障害者福祉
1.組織機構
英国では,第二次大戦後,国民扶助法の制定(1948年)によって,心身障害者,虚弱者,老人に対する収容保護または居宅サービスが地方当局の義務となった.また,それまでは盲人の福祉サービスについてのみ立法化されていた地方当局の福祉サービスに対する管理権限が,その他の障害者にも拡大されるようになった.こうして,第二次大戦後,福祉サービスに対する地方当局の権限と義務は大きく拡張したが,その管理運営は統一されておらず,行政上の無駄も少なくなかった.そのため,この問題を審議したシーボーム委員会は,1968年に報告書40)を提出し,地方当局に社会サービス部(Social Services Department)を設置し,「地域社会に根ざし,家族に方向づけられた包括的サービス」を提供することを勧告した.この報告書に基づいて,1970年に地方当局社会サービス法が制定され,翌年4月から実施された.そして,この社会サービス部の下で,それ以前には福祉部や児童部等がぱらぱらに行なっていたサービスが統合されることになった24,64).
社会サービス部の組織機構は様々であるが,図2に典型的なものを示す.本部は,収容サーピス,フィールド・ワーク,教育・訓練を担当する3つのセクションに分かれており,1974年のNHSの再組織以後は,これらに病院ソーシャル・ワーカーが加わっている.そして,前三者は,再び地域社会サービス・チーム(District or Area Social Service Team)の段階で統合されており,各種のサービスがばらばらに提供されることのないよう図られている.各地域の範囲は約4万人から14万人程度であり,その地域の社会サービス全般に責任を負うのは,地域社会サービス主任(Area Social Services Officer)である.この下に,ブリンシバル・ソーシャル・ワーカーが,またその下にシニアー・ソーシャル・ワーカーが設けられ,10~30名のソーシャル・ワーカーが5~6名ずつ一組になって組織され,各シニアー・ソーシャル・ワーカーが各グループを指導する仕組になっている.そして,普通,各々の地域社会サービス・チームが,ホーム・ヘルプ,給食サービス等の配分を管理している註1),56,64).
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.