巻頭言
リハビリテーションは誰のもの
永井 昌夫
1
1国立身体障害センター精神科
pp.79
発行日 1977年2月10日
Published Date 1977/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103736
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リハビリテーションという言葉を耳や口にして以来すでに久しい.何度かでてきた訳語をくぐりぬけ片仮名のまま使われてきてしまったが,本当は何を指しているのであろうか.定着したということが実体を明確にしたとは首肯し難い.それどころか目前の分野・対象・技術だけがそれであるかのような使われ方になっているという気がしてならない.
時代が移り,国情が異なり,立場が変われば違った現われ方をするのは当然であるが,この結果の方だけに捉われ現在のわが国における実情を以て定着とするなら,理念を見失う懸念を否定し得ない.医療人だけの問題ではないという意識が“総合リハビリテーション”誌を意義づけるように,誰もが共通して求める何かがリハビリテーションであるに違いない.それなのに往々利害相反しかねない現実に遭うことは残念である.
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