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はじめに
膝関節は,大腿骨,脛骨および膝蓋骨の3つの骨からなる人体最大の荷重関節であり,平らな形状をした脛骨の上に丸い大腿骨が載った構造をしている.このため不安定で適合性が悪く障害を受けやすい.安定性と可動性を得るために,関節軟骨,靱帯および半月板が大切な役割を果たしているが,膝関節に過度の負荷がかかると関節軟骨が摩耗し,変形性膝関節症〔膝osteoarthrities(OA)〕を生じる.スポーツで靱帯が損傷を受けると,膝関節は不安定となる.膝関節の障害に対して,薬物療法,運動療法,装具療法および手術療法が単独または組み合わせて行われている.これらのなかでも装具療法は,安全性に優れているだけでなく,膝関節の支持,アライメントの矯正,深部固有感覚の改善などの作用があり,機能を回復したり疾患の進行を抑制できる可能性もある.
膝装具はいくつかのカテゴリー(①膝OAに対して痛みの軽減と機能改善の目的で使用するunloader brace,②スポーツ活動時に膝を傷害から守る目的で使用するprophylactic装具,③anterior knee painに使用するpatellofemoral装具,④膝前十字靱帯(anterior cruciate ligament;ACL)損傷やACL再建膝の安定性を得る目的で使用する機能的膝装具)に分けられる1).それぞれの装具で役割と目的が異なり,整形外科医やリハビリテーション医など装具療法に携わる者は,その効果を発揮するために,膝疾患の病態,治療法の選択,各種装具の特徴を認識する必要がある.われわれは,これまでに膝装具の選択について概説してきた2,3).本稿では,装具療法の効果および適応などに関する新たな知見を加えて,高齢者の代表的な膝疾患である膝OAおよび若年者のスポーツ外傷としてACL損傷に対する再建術後の膝装具の選択,課題および展望について述べる.
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