ブックガイド
Berni, R. & Fordyce, W.E.: Behavior Modification and the Nursing Process
江藤 文夫
1
1東大病院老人科
pp.937
発行日 1976年11月10日
Published Date 1976/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103669
- 有料閲覧
- 文献概要
総合病院やリハビリテーション施設には隔床的修練を積んだ心理士が必ずスタッフの中にいて,患者の知能,学習能力あるいは記億力障害等を評価し,適切な治療プログラムが処方されるために重要な役割を果たし,患者に対しては治療を受け入れる準備をさせたり,脊損患者の性生活に関する教育やカウンセリングを受け持ち,また,「慢性疼痛疾患(とくに腰痛など)の患者の心理学的評価を行い,ときにはその治療の中心になる等のことが望まれる.Krusenの教科書には1章を設けて,心理学的評価とマネージメントについて説かれていることからも,リハビリテーション医学における心理学の重要性が認識されるが,その章の執筆者がこの本の共著者のFordyceである.
リハビリテーションを成功させるためには,患者自身が治療プログラムの中で自発的な一員として機能することが大切であるが,そのために心理学的アプローチの意義は少なくない.近年,オペラント条件づけとか,行動変容(修正)とか呼ばれる方法により,数多くの臨床的問題が比較的容易に,かつ現実的な方法で解決とされうる場合のあることが知られ,Fordyceらは治療医学の場でも,たとえば慢性疼痛の治療に,オペラント条件づけが有効な例が多いことを述べ(Postgraduate Med.,53; 123, 1973),実際にかなりの成果をあげている.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.