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いとぐち
日本学術会議には今年から社会福祉問題特別委員会なるものがつくられた.特別委員会というものは,緊急に処理すべき課題を検討するため,その期(3年間)かきりで作られる臨時の委員会であるが,その期の重点審議課題として正式に取上げられたものに基づいて設置され,委員には日本学術会議会員外からも加えて構成される.
この社会福祉問題特別委員会のなかに,リハビリテーション・医療福祉小委員会が設けられたことは誠に喜ばしいことである.日本学術会議の活動のなかには,各種の科学研究に関連する意見の表明などのほかに,政府に対する勧告,答申がふくまれている.発足以来満25年,その間に行われた勧告は554件にのぼるが,そのなかにはまだ実現を見ていないもの,不十分にしか実現していないものもあるが,多くの勧告がなんらかの形で実現し,また実現しようとしている.
リハビリテーション・医療福祉小委員会の委員長に任命されたので,私は,日本のリハビリテーション推進のために山積する難題を解決するために,リハ関係者のあらゆる分野,あらゆる層からの援助を得て微力を尽したいと思っている.手近な方法としては,日本リハビリテーション医学会の白書委員会と密接な関係を保ってゆきたい.そして,リハ関係者の総意を,政府への勧告のなかに盛りこみたいと念じている.
先ず手始めに昨年9月20日,私の司会の下に「リハビリテーション―現状とその問題点」というシンポジウムを開き,大きな収獲を得た.医学(上田敏氏),老人(横山巌氏),施設(今田拓氏),雇用(磯部清氏)の4視点からの問題検討であったが,今回は表題のように専門スタッフの教育・養成に関するもので,シンポジストのほかに指定発言者を現場から選び,問題に多角的にスポットを当てるべく企画した.
昭和51年2月14日午後2時から3時間,新宿の国立身障センター講堂で,学術会議第1部の飯塚鉄雄氏と,国立身障センター所長の橋倉一裕医博の司会の下に討議が進められ,実り多いものになったので,ここに報告しておきたい.今後のシンポジウムについてもご協力を要請するとともに,多勢の方々の御来聴を歓迎するものである.
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