書評
笹沼澄子 伊藤元信 綿森淑子 福迫陽子 物井寿子著―「失語症の言語治療」付鑑別診断検査・治療絵カード
福井 圀彦
1
1七沢病院
pp.660
発行日 1978年9月15日
Published Date 1978/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101763
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
最近失語症の診断,分類,評価などについてはかなり体系づけられてきているが,その治療となると概念的な部分が多く,具体的な諸問題については試行錯誤的に進める他なかった.とくに,失語症のタイプ,重症度,あるいは非失語症状の合併などにより,どのようにアプローチのしかたを選ぶか,治療成果によるプログラムの変更をいつ,どのように行うか,などの問題となると治療士独自の裁量にまかせる他ないのが現状である.
医師のほうも,失語症は苦手とばかり,すっかり言語治療士におまかせするか,治療士のいないところでは,ナースに依頼して,絵本や文字カードを用いて真似ごと的治療(?)を行っているか,そうでなければ放置してあるのが実状である.
失語症の治療に関する詳しい指導者の必要性を痛感していた矢先,本著が出版されたことは大変時宜をえたものといえよう.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.