書評
福井 圀彦(七沢病院副院長):老人のリハビリテーション
野島 元雄
1
1徳島大学理学療法部
pp.268
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103517
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はじめに,私は整形外科医であり下述の本書に対する記述が広い視野にわたって論ずることができないおそれのある点をお断りしておきたい.本書は,現時点で最も問題となる老人福祉に関して,リハビリテーション医学の立場から,著者の長年に及ぶ業績,経験にもとづき簡潔にまとめられた小冊子であるが,この方面に関心をもつ医療従事者,とくにパラメヂカルの人々に稗益するところ大きい手頃な書であると考える.
著者は老人を「外部からの侵襲により容易にホメオスターシスがくずれ,病的状態をもたらし,しかも次々と連鎖的に他の病態を招きやすい状態ないしはその準備状態」と定義し,この理念のもとに,まず生理的変化(細胞,臓器さらに器管レベルで),精神心理的変化を要領よくまとめ(免疫に関する最新の考え方にも言及している),上述理念に対して,パラメヂカルの人々にとっては多少難解な点も少なくないと考えるが,老人のもつ心身の特異牲を一応よく理解させてくれる.
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