書評
—福井 圀彦 原著 前田 眞治,下堂薗 恵 著—老人のリハビリテーション 第9版
村田 和香
1
1群馬パース大学・作業療法学
pp.2034
発行日 2022年10月10日
Published Date 2022/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402228564
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当たり前のことであるが,人は突然に老人としてこの世に現れるわけではない.生を受け,愛くるしい赤ちゃんが愛され育まれて子どもの時間を過ごし,成長し大人になる.同時に,行動範囲が広がり,活動や社会参加が増えていき,大人として社会生活の営みをもつ.成熟した時間を過ごし,「老い」とともに自分らしさや幸せ,生きる意味を追究していく.そんなあるとき,病気となり,障害をもち,老いた対象者としてリハビリテーション・スタッフの前に現れる.
私たちには,今,目の前にいる対象者の姿しかわからないが,人の生きてきた時間の長さや空間の広がりだけでなく,その時代の出来事をも受け止めていくことは,リハビリテーションにとって大切なことと感じている.本書第9版の序にあるように,新型コロナウイルス感染症の蔓延により,私たちの生活は変化した.高齢者や障害者も大きな影響を受け,決して以前と同じ生活には戻らないかもしれない.
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