学会報告
第10回関東地方リハビリテーション医学懇話会―(昭和50年3月8日,於東京逓信病院)
岩倉 博光
1
1帝京大学整形学科
pp.773-774
発行日 1975年9月10日
Published Date 1975/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103403
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1.家族性両下肢麻痺性内反足児の症例
帝京大学整形外科 小原 康史 原 勇 岩倉 博光
東京大学整形外科 中村 千行
西野整形外科 西野 仁博
6歳の女児,生後直ちに両下肢の内反足変形にきづき,保存的治療法を続けて,足変形はある程度矯正されたが,保持筋の力が弱く,かつ両下腿中央以下の知覚脱失があるため,精査の目的で帝京大学へ入院した.
この患児の妹も同様の内反足変形と知覚脱失を有する.神経学的所見として,両下腿の知覚障害は靴下状に触覚,痛覚の表在知覚脱失のほか,深部知覚も足関節以下に著しく低下している.筋萎縮は膝関節のやや末梢部より著明で,足関節運動は前脛骨筋(筋力はGoodのlevel)により自動運動が可能であるため,内反変形を有するが,下腿三頭筋,後脛骨筋はかたく索状に触れて筋収縮を僅かに触知するのみ.立位歩行は可能であるが,両足外縁にて荷重するため表皮の角化肥厚が著しく,一部に壊死と深部に達する穿通創傷を示す.上肢に手指の軽度屈曲位拘縮を有するが神経学的異常所見はない.膀胱直腸障害もない.筋電図検査では,前脛骨筋,後脛骨筋,下腿三頭筋に正常の活動電位が量的減少として見られる.腓腹筋の生検では神経原性萎縮を示し,腓腹神経は手術時に探索したが,発見できなかった.
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