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By Walter P. Blount and John H. Moe: The Milwaukee Brace
山内 裕雄
1
1順天堂大学整形外科
pp.78
発行日 1975年1月10日
Published Date 1975/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103260
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脊柱側弯症は,整形外科の重要な疾患ではあるが,その治療の困難さより永い間いわばまま子扱いをされて来た感がある.しかし近年,Hibbsの脊椎固定術にはじまり,Harringtonの金属棒による内固定,Hodgsonらによる脊柱骨切り術,そしてDwyerのケーブルによる前方矯正固定法など,華やかな手術術式の開発により治療上の大きな進歩がもたらされて来たことは衆知のことであろう.
しかし一面,側弯症の中等度までのものは,余り機能障害がなく,主として外観上・美容上の問題であり,このような症例に大きな手術的侵襲を加え,レ線上では見事に矯正されても醜い手術瘢痕を残すことは,必ずしも最善の処置とは言い難い.脊柱側弯症に対する保存的治療では,古来実に多くの工夫がなされて来たが,これのほとんどは徒労に終ったといっても過言ではなかろう.種々の装具の工夫もこの中に入るが,このうちMilwaukee braceは数少ない例外といってもよかろう.これとても1945年の当初には,術後固定用として作られ,その後,これのみでも治療可能であることが新たに着目され,今日の体系となったものである.
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