ひと
障害を克服し,弁護士としてエネルギッシュに活躍されている 村田 稔(むらた・みのる)氏
原田 豊治
1
1東京心身障害者職業センター
pp.76
発行日 1975年1月10日
Published Date 1975/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103258
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昭和44年9月の末の夕刻,法務省の中庭のざわめきの中で,司法試験の合格発表をじっとみつめていた,車椅子にのった青年がいた.1,2……そして5回の失敗にめげず,やっと6回目に得た安らぎ,法律をやっていてよかった……と,彼は感じていた.
この青年が障害者の“希望の星”と言れている村田稔氏である.国立身障センター時代に兄とも想い,信頼するケース・ワーカーの西村晋二氏が,私と机を並べているので,村田氏とよく話す機会が多い.あれほどの闘志をどこに秘めているのかと思われる位に温和な人柄であり,私の尊敬する友人の1人である.弁護上の活動は動き廻る要素が多いだけ,疲労度も強いようだが,「仲間とチームワークを組んで続けたい……」と,そして「障害者の人権問題や年金,社会保障などの権利について,差別に立ち向いたい」とかねがね話している.重度障害者が新しい職種へ……との可能性について,見事,答を出してくれた人である.
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