書評
藤原 知著―「運動解剖学」
石田 肇
1
1日本医科大学整形外科
pp.921
発行日 1973年9月10日
Published Date 1973/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103010
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本書は,著者の緒言にあるように,その目標を身体諸系統を“運動”の一点に照準を定めて統一的に把握し,運動の射程のうちにあるものをすべて動員し再溝築することを方法論として生れたという.
したがってその成り立ちは,人間運動の特性としての直立姿勢から説きおこし,基本的な投てき動作,指運動,水泳飛びこみなどの分りやすい例を挙げつつ姿勢反射,協調運動,随意運動,自動調節機構につきふれ,人間発育段階,その指標となる諸反射に及び,また運動の性質をのべている.第Ⅱ,Ⅲ章は主として神経学的な考察で,ニューロンとシナプス,運動終板,筋紡錘などのきわめて興味深い最新の知見,殊にγ-運動系の説明は運動ニューロンが伸展受容器からの複雑なフィードバック機構により調節を受けていることともに興味ある所である.
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