追悼
故山田憲吾先生を偲ぶ
井形 高明
1
1徳島大学
pp.345
発行日 1990年3月25日
Published Date 1990/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900059
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恩師山田憲吾先生は,平成2年1月19日午後忽然として逝かれました.正に晴天の霹靂というほかありません.78歳の御生涯に残された足跡は誠に偉大なるものがあります.昭和29年9月徳島大学医学部教授に御着任されて以来,整形外科学教室の内にあっては熟察して明を開き,発想を転換され,外にあたっては才気換発し,臆せず迷わず不屈の努力を尽くされました.そのおすがたは実に強烈で人心を捉え,私共門下生はもとより先生を知る多くの人々から斉しく畏敬と共感をもって迎えられてきました.
先生は普遍なるものへの追求を学問の使命とし,脊椎カリエスに対する病巣廓清術ならびに腰椎椎間板ヘルニアの病態と治療は着任時,既に大成されていました.後に,脊髄損傷の治療方針の確立,さらには脊柱側彎症の成因として平衡機能異常の実証,それに立脚した治療ならびに対策としての学校検診制度を練り上げるなどを加え,脊椎外科に不朽の金字塔を打ち立てられました.関節外科にも挑まれ,特筆される関節硬着に対する滑動装置再建術を創始されました.リハビリテーションの方面,特に筋ジストロフィー症の装具やサリドマイド児の電動義肢で画期的な研究を物にされるなど,独創性に根差した業績は数限りないものがあります.
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