書評
立石恒雄・木場由紀子 編「言語聴覚士のための子どもの聴覚障害訓練ガイダンス」
能登谷 晶子
1
1金沢大学保健学科
pp.1102
発行日 2004年11月10日
Published Date 2004/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102759
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本書は,聴覚障害幼児を対象とした聴力検査,補聴器装用,人工内耳のマッピング,聴能言語指導の実際について,具体的な症例を提示しながら訓練経過をまとめたものである.第1章の「聴力検査と補聴器」では,乳幼児の聴力検査を担当する現場の言語聴覚士にとって必要な検査の具体的な方法や注意点が書かれている.また,両側外耳道閉鎖症例や重複症例に対する補聴器の装用指導経過や両親指導などについても触れられている.第2章の「小児の聴能言語指導」では,前言語期レベルから構文レベルにいたる指導の経過がまとめられている.第3章の「幼・小児の人工内耳」では,各症例のマップが実際に提示されているので,臨床で人工内耳のマッピングをしている言語聴覚士にとって大変役立つところである.
実際の臨床場面では,ABR,CORなどによってわが子の聴覚障害が明らかとなった場合にも,家族にわが子の聴覚障害を受容してもらうことは容易ではない.本書には随所に長年聴覚障害幼児の臨床を実践してきた言語聴覚士が臨床場面で行っているさまざまな工夫も記載されており,まだ臨床経験が浅い言語聴覚士にとって大変心強いものになっている.
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