Japanese
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実践講座 がんのリハビリテーションにおけるリスク管理・第4回
終末期浮腫
Edema at the end of life.
小川 佳宏
1
Yoshihiro Ogawa
1
1医療法人リムズ徳島クリニック
1Limbs Tokushima Clinic
キーワード:
終末期浮腫
,
深部静脈血栓症
,
リンパ浮腫
,
複合的治療
Keyword:
終末期浮腫
,
深部静脈血栓症
,
リンパ浮腫
,
複合的治療
pp.1219-1225
発行日 2012年9月10日
Published Date 2012/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102665
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はじめに
がんの終末期には,種々の原因で局所的または全身的に浮腫がみられることが多い.症状の程度によっては,浮腫により生活の質(quality of life;QOL)の低下を来し,リハビリテーションを行う際に支障が生じるだけではなく,原因によっては生命予後にも関与する.
終末期で浮腫のある患者にリハビリテーションを開始する際や,浮腫がみられなかった患者にリハビリテーションを開始した後で浮腫を確認した際には,その原因・病態を確認してリハビリテーションを開始または継続可能かどうか検討する.このように医師の診断や指示の下で,終末期浮腫に対して「リスク管理」を行うためには,治療に携わるスタッフに注意すべき状況かどうか判断する知識が必要である.
浮腫自体が日常生活動作(activities of daily living;ADL)低下の原因であれば,浮腫自体に対する治療も必要になる.がん治療後に発症することがある一般的なリンパ浮腫に対しては,表1に抜粋したような治療方法が国際リンパ学会で推奨されている1).また日本では,複合的理学療法(combined physical therapy:CPT)を中心とした保存的治療(複合的治療)が推奨されている.終末期浮腫では,原因や病態・症状によって,複合的治療のうち実施可能な治療内容を,効果をみながら使い分ける知識や技術が必要である2).
本稿では,終末期浮腫で考えられる原因・病態やその診断方法,浮腫の対処法や注意点などについて解説する.
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