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少々大袈裟なタイトルですが,世界一の長寿国である日本では,今後さらに高齢化社会の流れが加速していきます.リハビリテーション医療は,国民に不利益が生じないように研究・教育も含めて今後さらに躍進していかなければなりません.
リハビリテーション医療の発展に関して私が気にかけていることが二つあります.一つは,リハビリテーション以外の他科および医師以外の他職種あるいは医療以外の他分野とのさらなる連携です.それぞれの職種で考えがありなかなか難しいことですが,広い領域にわたるリハビリテーション科だからこそできることであり,せねばならないことであると思います.もう一つはリハビリテーション科医を増やすことです.現在,私は大学教員として医学生教育に関わっていますが,担当するクリニカルクラークシップのあとには独自のアンケートを行って医学生の考えを聞いています.アンケートの結果をみると,リハビリテーション医学に興味をもっている学生は少なくないというのが印象です.「患者のADL,QOLを向上させるためにリハビリテーションの果たす役割は大きいということを改めて認識した」,「たくさんの患者の社会復帰を支えているのはリハビリテーションなのだと改めて感じた」,「リハビリテーション科医にはあらゆる知識が必要で大変だと思うが,反面やりがいがあると思った」,「病気だけでなく生活にも踏み込むことで,もっと患者のためになれると気付いた」などの意見がみられました.もちろん,「リハビリテーション科には力がない」,「日本では十分にリハビリテーションが啓蒙されていない」などの意見もありますが,前者のような意見をもつ人をぜひリハビリテーション科医に育てたいと思っています.卒後の臨床研修制度など,教育の環境は非常に厳しいのが現実です.しかし,そこで理解していただきたいことは,医学教育を行う場は大学だけではなくなったということです.臨床研修などの卒後教育だけでなく,卒前教育でも一般病院が関わるようになってきています.市中病院のリハビリテーション科が大学のリハビリテーション科と関連していない場合や,リハビリテーション科以外の診療科での研修でリハビリテーション科医と遭遇する場合がありますが,今後は市中病院のリハビリテーション科医と大学のリハビリテーション科医が連携して情報や教育プログラムを共有する必要があります.さらに,出身大学と出身地あるいは卒後の勤務地が違う場合などは大学間でも同様に連携していく必要があるでしょう.
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