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多変量とは何か
年齢別の転倒率を比較する研究であれば,年齢という変数と転倒の有無という変数の2つを取り上げる.このように2つの変数の関係であれば,これを単変量解析(univariate analysis)と呼ぶ.しかし,さらに性別という変数が加わり,女性では70歳を超えるあたりから転倒が増えてくるが,男性では80歳を超えてから転倒が増えるという性差まで言及しようとすると,そこでは3つの変数が介在することになる.このように,3つ以上の変数を同時に扱う解析を多変量解析(multivariate analysis)と呼ぶ.
前述のように,多変量解析は3つ以上の変数を同時に扱う解析であるが,説明変数をX,結果変数(アウトカムとも言う)をYという状況で考え直してみよう.結果変数Yは1つだが,説明変数Xが2つ以上の場合と,結果変数Yが2つ以上で説明変数Xが1つという場合がある.どちらも合計すると3つ以上なので多変量解析に該当する.さらに,結果変数Yが2つ以上,説明変数Xも2つ以上という場合もある.表1に示したように,結果変数Yが1つであるときは多変数・多重(multivariable/multiple),結果変数Yが2つ以上のときは多変量(multivariate)と使い分けることがある.結果変数Yは確率変数(random variable)であり,説明変数Xは固定変数(fixed variable)と考えるためである.“Variate”は確率変数を指し,“variable”は単なる変数と使い分けたりする.なお,X変数とY変数の名称は,独立変数と従属変数,説明変数と目的変数,原因変数と結果変数などといろいろ呼ばれているが,ここでは説明変数と結果変数で統一することにする.
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