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臨床情報の数値化
臨床医学の世界で病気を診断したり,病気の予後を予測することは重要な部分を占める.診断あるいは予後を推測するための予測ルールをつくる,という場合,それぞれ,疾患確率,または予後(一定時間経過後の疾患確率)を計算するための数式をつくることを意味する.
さて,こうした予測ルールの作成にあたっては,上述した予測したいこと(アウトカム)のみでなく,予測因子(説明変数)になりうる種々の因子に関しても,数値化する必要がある.臨床情報を数値化するにあたっては,予測ルールの作成が終わった時点を想定して,臨床上の所見に対して,数値(連続変数,名義変数,順序変数,J1)を振り当てる必要がある1).たとえば,大腸ポリープとbody mass index (BMI)の関係を想定した場合,BMIが30以上の肥満かそうでないかに興味があるのか,あるいは,BMIが1つ増えるごとの大腸ポリープの確率の変化に興味があるかによって,BMIの値の取り扱いが異なる.すなわち,前者の場合,BMIを30以上と30以下の二値の名義変数として扱い,後者の場合,連続変数として扱うことになる.臨床情報を数値化する場合,もう一つの重要な点は,予測ルールが完成した後の利用しやすさである.最終的に利用される説明変数がいかに疾病の予想に役立つとしても,実際の臨床現場でその情報を得ることが困難な場合は,実用的ではない.上記の二点を考慮したうえで,多数の臨床情報のなかから説明変数の候補を選択し,どのような数値(連続変数,順序変数,名義変数)で表現するかを決定する.完成した予測ルールを実際の臨床現場でより利用しやすくする方法としてノモグラムの作成がある.筆者らが最近作成した大腸腺腫を予測するためのノモグラムを提示した(図1)2).ノモグラムを作成することで,複雑な計算なしに予測ルールを使用することができる.
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