Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「天国はまだ遠く」―山奥の民宿が傷ついた若者の心を癒す
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.373
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101494
- 有料閲覧
- 文献概要
「天国はまだ遠く」(監督/長澤雅彦)のヒロイン千鶴(加藤ローサ)は,山奥の民宿で自殺を図るが未遂に終わる.不器用で要領が悪いために,失敗体験や叱られ体験が積み重なり,それが対人恐怖や視線恐怖へと発展し,最後にこんな自分は消去するしかないという結論に達したのだ.専門家から,微妙ながらLD(学習障害),ADD(注意欠陥障害),不安障害の可能性を指摘されそうなタイプである.
死を免れた千鶴のその後の様子をみると,性格は悪くないし,共感性も高い.なんといっても立ち直りが早い.なんでも美味しそうによく食べる健康娘なのだ.自分の描いた下手な絵も「飾っておいてね」と言えるほどに無邪気である.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.