昨日の患者
天国のあなたへ
中川 国利
1
1宮城県赤十字血液センター
pp.1345
発行日 2015年11月20日
Published Date 2015/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210985
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- 文献概要
様々な治療が行われる昼の外科病棟と異なり,静寂な夜の病棟では患者は様々な思いに耽る.そして帳に包まれた病室で静かに寄り添うことにより,時には患者の秘めた思いを聴くことができる.
70歳代後半のFさんは大腸癌患者さんで,高齢にもかかわらず生来元気で一人住まいをしていた.手術前日に見舞うと,娘さんが付き添い世話をしていた.Fさんは,「十分生きましたので,悔いはありません.天国で待つ夫のもとへ,早く行きたいものです」と,述べた.娘さんは,「もう少し,この世を楽しんだら.お父さんも理解して,待っててくれるから」と,励ました.
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