巻頭言
「おひとりさま」とリハビリテーション支援
浅見 豊子
1
1佐賀大学医学部附属病院リハビリテーション部
pp.323
発行日 2008年4月10日
Published Date 2008/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101219
- 有料閲覧
- 文献概要
最近話題になっている本に,社会学者であり高齢者の介護問題にも詳しい東京大学大学院教授上野千鶴子氏の『おひとりさまの老後』がある.この本は,「長生きすればするほど,みんな最後はひとりになる.結婚したひとも,しなかったひとも,最後はひとりになる.」という言葉で始まる.シングルライフを送っている人がおひとりさまというわけであり,おひとりさまが安心して老後を暮らすためにはスキルとインフラが必要であることや,そのために備えるべきハード面とソフト面としてはどのようなものがあるか,について軽快な語り口で書かれている.
この本のなかには福祉機器や介護の話もあり,筋萎縮性側索硬化症(ALS)でエンジニアだった故・山口進一氏がALS患者のために眼瞼の動きを利用したパソコン入力操作や気管切開後の音声出力装置などのプログラムを開発したこと,あるいは「全盲の社会学博士」として知られる石川准氏が音声出力のプログラムや視覚障害者用のソフトウェアの開発に携わりウェブ上に無償で公開していること,また言語聴覚障害者用としては画面上に手話が現れる通訳ソフトが開発されていることなどの紹介もされている.そして,このようなハイテクが障害者のみならず高齢者にとっても福音となるとしている.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.