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講座 障害者の権利条約・1【新連載】
障害者権利条約―条約の概要と今後の課題
Convention on the Rights of Persons with Disabilities:outline of the convention and challenges to the government of Japan.
鈴木 誉里子
1
Yoriko Suzuki
1
1外務省総合外交政策局人権人道課
1Principal Deputy Director, Human Rights and Humanitarian Affairs Division, Foreign Policy Bureau, Ministry of Foreign Affairs of Japan
キーワード:
国際連合(国連)
,
人権条約
,
政府とNGO
Keyword:
国際連合(国連)
,
人権条約
,
政府とNGO
pp.895-900
発行日 2007年9月10日
Published Date 2007/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101039
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はじめに
2005年12月13日,第61回国際連合(国連)総会本会議において障害者権利条約案が全会一致(コンセンサス)で採択された.新国連人権条約の誕生である.筆者はその4か月前の8月に最後の日本政府交渉団長を務めたものの,残念ながらニューヨークに飛ぶことはできなかったが,霞ヶ関の外務省執務室において翌14日午前0時(ニューヨークとの時差は14時間)から国連ウェブキャストを通じて採択の一部始終を傍聴した1).足かけ5年,条約起草作業部会も含めれば延べ65人の政府代表団が日本とニューヨークを往復し,延べ96日間2)交渉が行われた,その結果である.
本条約は2007年3月30日に署名に開放され,同日ニューヨーク国連本部において署名式が行われた.本原稿執筆時の6月1日現在では,95か国と欧州共同体が署名し,また1か国(ジャマイカ)が署名と同時に批准した.わが国は以下に述べる通り未だ署名していないが,本条約交渉に積極的に取り組んできた日本政府としても本条約の採択そして署名開放を歓迎する.
本稿では,条約および交渉の概要,主要条文,日本政府とNGO(non-governmental organization)の関わり,署名・締結に向けた今後の課題について簡単に述べたい.
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