学会報告
第38回東海リハビリテーション懇話会―2003年5月9日(金),於:サマニアンホール(八神製作所多目的ホール)
才藤 栄一
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1藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座
pp.893
発行日 2003年9月10日
Published Date 2003/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100896
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今回のテーマは「日常生活活動の評価,FIMを中心に」であった.
1.ADLを評価するうえで必要な基礎知識
藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座
才藤 栄一
日常生活活動(ADL)は,施設や病院生活など保護された環境レベルでの「あらゆる個人が毎日の生活を送るうえで必要な基本的活動の一式」である.1950年代後半に誕生したこの概念は,80年代に盛んに議論され,FIM(Functional Independence Measure)が生まれた.講演では,FIMを実例に尺度と統計の使用に関して配慮すべき要点を議論した.(1)尺度の信頼性と妥当性をまず押さえるべきである.信頼性は,再現性と整合性(1次元性)に分けられる.「妥当性は信頼性を超えられない」という原則を知る必要がある.(2)順序尺度合計問題がADL評価の重要課題である.1)1次元性・難易度順序性の問題は,ADLの等質性という考え方に要約できる.FIM運動項目はそれを満たすであろう.2)順序尺度の間隔尺度化問題はきわめてやっかいな課題である.対処法は以下となろう.iii)諦めてノンパラメトリックに対処する.ロバストな統計やニューラルネットなどを用いる.i)他の間隔尺度を外的基準として関連づける.FIMでは介護時間が相当する.ii)Rasch分析など間隔尺度化技法を用いる.演者は,ADL評価は元来マスターテスト(criterion-referenced test)であると考えており,Rasch分析は分布型問題からみてお勧めしない.
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