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ケアマネジメントが登場する背景
1.「措置行政」のなかでのマネジメント
ケアマネジメントという考え方は,ここ10数年来,社会福祉実践上でも,社会福祉制度上でも大きな課題になってきている.しかしながら,社会福祉の分野では,対人援助を展開するソーシャルワーク実践においてサービス利用者のニーズに対応して援助方針を立て,その際に社会資源を活用(マネジメント)するという考え方は当然あり,時にはそれはケースマネジメントという呼称で行われてきていたと言ってもよい.
戦後日本の社会福祉は国の機関委任事務として行われてきた.(国が社会福祉のあり方,運用を決め,その実施を地方自治体の長に委任する方式で,地方自治体の権限はほとんどなかった.この方式は1987年まで続いた.)さらに社会福祉制度がきめ細かく整備されているうえに,福祉サービスを必要としている人がサービス利用を申請してきた際,その人がサービス利用上の要件に該当するかどうかを判断して,サービス利用を決定するという「措置行政」として社会福祉行政が展開されてきた.そのために,実質的に社会資源を活用するというマネジメントの考え方を手段として使うソーシャルワーク実践を展開できる基盤は脆弱であった.かえって,病院のソーシャルワーカーや精神保健分野におけるソーシャルワーカーは,実質的に「措置行政」を担当する機関の職員でなかったということもあり,それらのソーシャルワーカーがサービス利用者(クライエント)のニーズに対応して,社会資源としての社会福祉制度を活用する(マネジメント)というソーシャルワーク実践を展開しており,その過程ではケアマネジメントという方法が内包されていたと言うことができる.
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