Japanese
English
特集 脳外傷の障害評価
「目に見えない障害」の医学的評価
Neurophysiological evaluations of higher brain dysfunction in patients with diffuse brain injury.
小川 鉄男
1
,
蒲澤 秀洋
1
,
阿部 順子
1
,
長野 友里
1
Tetsuo Ogawa
1
,
Hidehiro Kabasawa
1
,
Junko Abe
1
,
Yuri Nagano
1
1名古屋市総合リハビリテーションセンターリハビリテーション部
1Nagoya City Rehabilitation and Sports Center
キーワード:
脳外傷
,
高次脳機能障害
,
2次元脳電図(EEG topography)
,
ポジトロン断層撮影(PET)
,
事象関連電位(ERP)
Keyword:
脳外傷
,
高次脳機能障害
,
2次元脳電図(EEG topography)
,
ポジトロン断層撮影(PET)
,
事象関連電位(ERP)
pp.107-112
発行日 2003年2月10日
Published Date 2003/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100743
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はじめに
脳外傷における「見えない障害」とはどのような障害を意味しているのであろうか.身体障害が軽度か,または,ほとんど認められず,認知・情動・行動などの高次脳機能障害のみが問題となる症例では,画像検査などの客観的なデータで証明できないために的確に診断できない場合がある.すなわち,異常があると分かっていてもその障害の本態を明らかにすることができない,「障害を見せられない」現状がある.おそらく,脳外傷の診療を行っている多くの医療機関が抱えている最も重要な問題と思われる.
神経心理学的検査により知能の低下や記憶障害,注意/情報処理障害などが認められた場合,必ずしもそれに見合う脳病変を伴っているわけではない.特にpost concussion syndromeやdiffuse axonal injury(DAI)などのびまん性脳損傷では,CT,MRIでは明らかな病変が認められない場合がある.
今回われわれは,びまん性脳損傷に伴う高次脳機能障害に対する客観的診断の方法について文献を交えて考察し,さらに名古屋市総合リハビリテーションセンターで行っているpositron emission tomography(PET)と二次元脳電図の結果について述べる.
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