Japanese
English
研究と報告
前交通動脈瘤破裂後の知的能力の変化について―WAIS-Rによる検討
The change of intelligence following ruptured aneurysm of anterior communicating artery: A study of WAIS-R
上久保 毅
1
,
本田 哲三
1
,
和田 勇治
1
,
中島 恵子
1
,
南雲 祐美
1
,
宮野 佐年
2
Takeshi Kamikubo
1
,
Tetsumi Honda
1
,
Yuji Wada
1
,
Keiko Nakashima
1
,
Yumi Nagumo
1
,
Satoshi Miyano
2
1東京都リハビリテーション病院
2東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座
1Tokyo Metropolitan Rehabilitation Hospital
2Department of Rehabilitation, Jikei University School of Medicine
キーワード:
前交通動脈瘤
,
知的能力
,
WAIS-R
Keyword:
前交通動脈瘤
,
知的能力
,
WAIS-R
pp.79-83
発行日 2003年1月10日
Published Date 2003/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100737
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はじめに
前交通動脈瘤破裂によるくも膜下出血患者(以下,ACOM)では,記憶,注意,遂行機能,行動・情緒など,多彩な障害が認められ,リハビリテーションのみならず日常生活でもその対応に難渋することが少なくない.しかし,その知的能力については定説がなく,臨床場面でも戸惑うことが多かった.すなわち,Volpeら1),Richardson2),Stenhouseら3)は,WAISを用いてACOM患者の知的能力は正常と結論している.一方,Damasioら4)は,4例の前脳基底部健忘を来したACOM患者の結果からWAISにおけるPIQの低下を指摘し,Steinmanら5)は,VIQは正常であるが,PIQはさまざまであったとしている.さらにIrleら6)は,ACOM患者27例のVIQとPIQを呈示し,ACOM患者は健常者と比較して低値であるとしているものの,その評価点を見る限り正常範囲である.今回われわれは,当院での認知リハビリテーション対象者における前交通動脈瘤破裂後の知的能力を検討し,前交通動脈瘤破裂後の患者は脳内出血後の患者に比べて認知リハビリテーションによる改善が大きいことを明らかにする目的で本研究を実施した.
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