Japanese
English
実践講座 神経筋の電気診断1
神経筋の電気診断の基礎知識
Electrical properties of nerve and muscle.
正門 由久
1
,
花山 耕三
1
Yoshihisa Masakado
1
,
Kozo Hanayama
1
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
キーワード:
膜
,
活動電位
,
伝導
,
シナプス
,
容積伝導
Keyword:
膜
,
活動電位
,
伝導
,
シナプス
,
容積伝導
pp.57-62
発行日 2003年1月10日
Published Date 2003/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100734
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はじめに
電気診断学の理解および実践には,中枢神経(脳および脊髄),末梢神経,神経筋接合部,筋などの解剖・生理の知識および理解が必要である.電気診断学は診察の延長である.基礎知識がなければ診療などの臨床もできない.それと同様で,たとえば解剖では,各筋の名称,支配神経,支配髄節,作用などの知識,腕神経叢はどのような構成かなどの知識は不可欠である.また,生理学の知識がないと,何を記録したいのか,なぜこのような電位や波形が記録されるのか,などを理解できない.
神経系の情報伝達は,神経細胞より発した活動電位が末梢あるいは中枢に向かって伝導することによって果たされる.この活動電位を表面あるいは針電極を用いて記録することで,運動神経や感覚神経の伝導,運動単位・筋活動の分析などに役立つわけである.神経と筋組織は共通の生理学的特性をもち,いずれの細胞膜もその興奮性は静止膜電位の大小で決まる.電気的あるいは化学的刺激によって細胞膜に脱分極が起こり,これが閾値に達すると活動電位が生じて,興奮の伝導が始まる.また動物では,これらの電気的過程を細胞内電極で直接測定できるが,臨床では,間質組織を介して,細胞外電位の変化を記録することとなる.このために,ヒトの電気活動の分析には容積伝導体の影響を十分考慮しなければならない.
本稿では,臨床神経生理学の基礎としての,細胞膜,活動電位の発生とその伝わり方,シナプス,神経筋接合部など,さらには容積伝導について述べたい.
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