Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「マグダレンの祈り」―90年代まで続いた女性迫害の歴史を描く
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.281
発行日 2004年3月10日
Published Date 2004/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100724
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98年公開の「踊る大捜査線」1作目は101億円を稼ぎだし,03年公開の2作目は170億円を稼ぎだした.かって国民映画と言われた寅さんシリーズでも1作につき15億円程度の興収だったのだからまさに驚異的なヒットぶり.本シリーズの面白さを支えているものは警察社会に例をとった「階級差別」への抵抗精神と同時代の空気の共有感である.
2作目では,「男女共同参画社会基本法」が公布・施行された99年以降の社会の風景を皮肉を込めて切り取ってみせた.数値目標達成や政治的パフォーマンスのために,“生めよ増やせよ女性管理職”といったありえる話に材を取ったのだ.しかし,指揮官はやっぱり男だよねという筋運びに,パーソナリティの問題を性差の問題にすりかえる思考が透けて見え,どうしたんだよ脚本君塚良一,歴史に対してどれほど自覚的なんだ,と思ってしまった.
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