特集 結核対策の最近の動向
90年代の結核対策および研究について
山本 正彦
1
Masahiko YAMAMOTO
1
1名古屋市立大学第2内科
pp.156-161
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900757
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◆はじめに
わが国の結核は低まん延期に入り,「結核はすでに克服された病気」との意識が,多くの国民はじめ,医療関係者の間に広がっている.しかし現在なお年間5万3千人の新たな結核患者と,3千人を越える死亡者が発生しており,先進工業国の中では最も遅れた状況で,わが国では結核は決して克服された病気ではない.
さらに加えて,わが国の結核には,患者の高齢化,罹患率の減少速度の鈍化,重症化,集団感染事例の増加など新たに解決を要する問題が露呈し始めている.また結核患者は老齢者,患者家族,経済的弱者,エイズをはじめとするcompromised host,在日外国人など特定な集団に偏在しており,地域差も解消されていない.
一方,最近の結核に関連する分子生物学や疫学的研究の進歩にもみるべきものがある.
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