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障害の有無,程度にかかわらず,「遊び」は子供の発達にとって重要な役割を果たす.また,障害をもつ子供の玩具への要求は各人各様なので,健常児向け玩具のように「~歳向け」というように画一的に選ぶことはできない.一般的には,障害をもつ子供のための玩具を選ぶ際の基準として,①複数の感覚へのフィードバックがあること,②フラストレーションを起こさない範囲で創意・工夫を促すこと,③側臥位,車椅子座位などでの遊びが可能なこと,④各自のペース,能力に合わせてスピードやレベルを調整できること,などがあげられる.これまで,玩具に関して,海外製品に関する情報が非常に限られていたが,今年になって障害児童のための輸入訓練グッズのカタログiWANT1)が刊行されるなど,選択肢が大きく広がろうとしている.
Sparkles the Clown(図1)はピエロの顔に見立てた壁掛けタイプ,プラスチック製の玩具である.ビーズの髪の毛を引っ張ると帽子に見立てた透明ドームの中でキラキラとスパンコールが舞い,黄色の耳を押すとピエロの大きな緑色の目が光るように作られている.また,赤い鼻をひねると警笛が鳴り,蝶ネクタイを下に引っ張ると玩具全体が振動し,青いローラーの唇を回転させると音楽を奏でる.そしてこのピエロで遊んでいる間,両頬にある丸い鏡には自分の顔が映っているので,視覚,聴覚,触覚,振動覚による感覚入力が同時に得られ,しかも楽しむことができる点で優れている.一方,このように子供たちが好きな玩具を上手に使うことで,遊びながら効果的な訓練を行うことができる.例えば,親がピエロになりかわり,「私の髪を両手で掴んで」,「次は私の鼻をひねって」などと言いながら子供たちにさまざまな部分に触れさせることにより,顔の各部の名称を覚える,簡単な指示の理解を進める,上肢の関節可動域を拡大する,姿勢制御や手指,上肢の訓練を進める効果が期待できる.
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