Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「機関車先生」―戦後民主主義が呼び寄せた障害者教師
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.1105
発行日 2004年11月10日
Published Date 2004/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100673
- 有料閲覧
- 文献概要
明るい未来を描けない,現実から逃避したいという気分の反映なのか,ともかくもノスタルジックものが続いている.80年代後半の「世界の中心で,愛をさけぶ」,70年代後半の「チルソクの夏」,70年代半ばの「スクール・ウォーズ」,そして50年代は団塊世代が月光仮面に夢中になっていた頃の「機関車先生」(監督/廣木隆一).
97年に公開されたアニメ版については,その年の4月号本欄で取り上げている.
機関車先生という愛称は,“体が大きくて口がきかん”から発している.剣道で喉を突かれて声を出せなくなった教師吉岡(坂口憲二)が主人公だ.アニメ版ではかつて高倉健が任侠ものでみせていたような奥歯を噛みしめてぐっと耐えるストイシズムを強調し,スーパーマン障害者教師の趣もあったのだが,本作では,がんばろうとする意志はあるものの重い物を抱え込んでいるためになかなか浮上できない人物として描かれている.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.