連載 くせものキーワード 第14回
呼び寄せ老人
椎野 亜紀夫
1,2,3
1「保健・医療・福祉のキーワード」研究会
2千葉大学(都市計画学)
3千葉大学ベンチャービジネスラボラトリー
pp.582-587
発行日 2002年7月15日
Published Date 2002/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901526
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地域ケアを利用する高齢者にとって,住んでいる地域は「長年住み慣れた土地」では,必ずしもありません。大都市・近郊では,幼い頃からその土地で過ごしてきた人は,むしろ例外といえます。昭和恐慌の時代に学校にもいかず売られるように田舎をあとにした人。戦後初期に焼け跡だった都会に出てきた人。高度成長期に集団就職で上京した人。出稼ぎ生活から,事情があって大都市に定住した人。それから,高齢期を迎えてから,息子や娘に呼ばれて故郷をあとにした人。
都市部に移動してからも,そこに安住の地を見つけられるとは限りません。自分の病気,家族の事情,介護問題などで,あちこちの住まいを転々とし,時には病院から介護施設へと「流され」ていく人もいます。
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