Japanese
English
特集 リハビリテーションと臨床神経生理学
脊髄損傷の病態評価と予後予測
Neurological evaluation and prognosis of spinal cord injury.
河野 修
1
,
植田 尊善
1
Osamu Kawano
1
,
Takayoshi Ueta
1
1独立行政法人労働者健康福祉機構総合せき損センター整形外科
1Spinal Injuries Center, Japan Labour, Health and Welfare Organization
キーワード:
脊髄損傷
,
予後
,
MRI
Keyword:
脊髄損傷
,
予後
,
MRI
pp.641-645
発行日 2004年7月10日
Published Date 2004/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100611
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はじめに
外傷性脊髄損傷は,それまで全く健康で何不自由なく生きてきた人が,ある瞬間を境に四肢麻痺あるいは両下肢麻痺となり,それまでとは全く異なる人生を歩まねばならなくなるという,患者にとってはきわめて受け入れがたい病態である.しかも脳神経の高次機能は全く正常に保たれるがゆえ,障害を受容するに至るまでの葛藤は,健常人には計り知れないものがある.
脊髄損傷において,麻痺を劇的に回復させる治療法(例えば脊髄再生)は,今のところわれわれは持ち合わせていない.われわれが患者に対してできることは,病態(麻痺の状態)の把握をして,その予後の予測とゴール設定を適切に行うことである.患者が最大限獲得できるゴールを呈示し,それに向かったリハビリテーションを提供することがわれわれの使命である.患者は,受傷後しばらくの間はその障害を理解できず,その後障害の受容に葛藤することとなるが,自分の将来の姿が明らかとなりそれを見据えることで,初めて新しい人生を歩きだすことができるようになるのである.いつまでも出口の見えないトンネルの中にいては,リハビリテーションのモチベーションも生まれない.
今回は頸髄損傷による四肢麻痺に論点を絞り,急性期における麻痺の評価と予後予測について,MRI所見と対比しながら述べる.
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