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褥瘡の処置を考える前に
褥瘡のケアには,この特集の構成のように,予防的処置,栄養管理,手術療法とともに「褥瘡の処置」が含まれる.褥瘡の処置には,手術療法とともに,法的に医師の関与が欠かせない「医療行為」が含まれることも多い.しかし,実際の褥瘡ケアにおいては,看護師,特にWOC(創傷・オストミー・失禁)看護師やET(enterostomal therapist)ナースが関与することも多く,どこまで看護師の関与を認めるかは,不明確なまま議論が先送りになっている.さらに問題を複雑にしているのは,近年の在宅医療の普及である.在宅医療あるいは在宅看護の世界では,褥瘡ケアにかかわる人々の裾野が拡大し,家族はもちろん,介護福祉士やホームヘルパーの関与が大きくなっている.褥瘡ケアに携わる人が増えることは良いことだが,一方では,誰が,どこまでの役割を全うすればよいのか,わかりにくくなっている.「ケア」という言葉が外来語であることも,そういった不明確さの要因の一つと思われる.職務上,褥瘡ケアの中心にならざるを得ない医師や看護師が現実には褥瘡ケアの経験が少ない,といったこともないわけではなく,さらにこの問題を複雑にしている.
とは言え,さまざまな場面や状況に出くわしたときに,何もしないで手をこまねくことはできない.実際の褥瘡の「ケア」を始めなければならない.「褥瘡の処置」の内容は多岐にわたる.その際に必要とされるのは,適切な判断(看護診断を含む診断)と方法論と,そしてそれを実現する技術(スキル)である.スキルには医師あるいは看護師でなくても法的に問題なく実施できるスキルもあるが,医師でなければ,あるいは看護師でなければ法に触れる可能性のあるスキルもある.いちいちそれを論ずることはできないが,そういった制限のあることを認識しておく必要がある.
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