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特集 覚醒下手術の最前線――臨床的意義と神経科学
覚醒下手術の歴史と適応
History and indication of awake surgery
成田 善孝
1
Yoshitaka NARITA
1
1国立研究開発法人国立がん研究センター脳脊髄腫瘍科
キーワード:
覚醒下手術
,
皮質刺激
,
マッピング
,
手術適応
Keyword:
覚醒下手術
,
皮質刺激
,
マッピング
,
手術適応
pp.695-698
発行日 2023年8月26日
Published Date 2023/8/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28609695
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覚醒下手術は,19世紀後半にてんかん患者の病巣の局在診断としてはじめられた.大脳皮質刺激により脳のさまざまな機能が明らかとなり,Penfieldらが脳の機能局在を明らかにするなど,覚醒下手術は脳科学の進歩に貢献した.1990年代には,短時間作用型のプロポフォールやレミフェンタニルが普及し,全身麻酔による開頭術から速やかに患者を覚醒することが可能となり,日本でも1995年から覚醒下手術がはじまった.2000年になって,脳MRIによる拡散テンソル画像(DTI)によるさまざまな白質線維の描出が可能となり,連合線維を含めた脳の機能がさらに明らかとなりつつある.覚醒下手術の主な適応は,脳深部に浸潤する神経膠腫などの悪性脳腫瘍である.神経膠腫の治療方針の第一歩は,症状を悪化させずに最大限の摘出を行うことであり,患者が早期に元の生活に戻るためにも,覚醒下手術は脳腫瘍外科医にとっては必須の手技となっている.
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