Japanese
English
特集 ハイリスク状態のリハビリテーションアプローチ
呼吸不全
Respiratory failure.
染矢 富士子
1
Fujiko Someya
1
1金沢大学大学院医学系研究科リハビリテーション科学領域
1Graduate Course of Rehabilitation Science, Kanazawa University Graduate School of Medical Science
キーワード:
慢性閉塞性肺疾患
,
急性増悪
,
急性呼吸不全
,
血液ガス分析
,
人工呼吸器
Keyword:
慢性閉塞性肺疾患
,
急性増悪
,
急性呼吸不全
,
血液ガス分析
,
人工呼吸器
pp.441-443
発行日 2006年5月10日
Published Date 2006/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100300
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はじめに
呼吸不全のハイリスク状態として,急性呼吸不全および慢性呼吸不全の急性増悪があげられる(表).急性呼吸不全の基礎疾患は多岐にわたり,回復可能なものや進行性のものもあり,予後の点からリハビリテーションアプローチのしかたも異なる.基礎疾患が肺炎のように回復可能なものであれば,積極的な排痰,呼吸指導,早期離床を促すが,筋萎縮性側索硬化症(ALS)のような神経筋疾患であれば,換気量の維持に努めることになる.実際,人工呼吸器を必要とした急性呼吸不全の患者の追跡調査では,その多くに機能障害やQOL(quality of life)の低下を認めているが,この結果については呼吸不全やその治療による影響は少なく,基礎疾患に基づいたものが考えられており,ケアをするにあたり余命の短さにも配慮する必要がある1).
代表的な慢性呼吸不全として慢性閉塞性肺疾患(COPD)があり,その急性増悪の症状としては,膿性痰,痰量の増加,呼吸困難の悪化があげられる2).この3つの症状の出現のしかたによって,急性増悪の重症度分類をする方法もある3).COPDでは急性増悪は年に1~3回出現し,場合によっては,入院が必要となったり,死の危険性が生じたり,QOLに影響を与えたりすることもある.発症頻度はCOPDの重症度とはあまり関係しないが,急性増悪を発症する毎に重症化し,回復に時間がかかるようになる.急性増悪の原因の多くは肺への感染症であり,感冒等に罹患した場合は早めの加療が必要となる.また,心不全,肺塞栓,肺外の感染症,気胸も引き金となりうる.そこで,このようなリスクの機会を少なくする努力が必要となる.
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