Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「いつか読書する日」―被虐待児と認知症老人が魂の覚醒をもたらす
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.287
発行日 2006年3月10日
Published Date 2006/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100272
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構造改革やら新自由主義とやらで勝ち組・負け組の二極化が避けられない情勢になりつつある.地方も捨てられてしまいそう.「福祉国家」という言葉もあったが遠い昔のことだ.その少し前には「知性の叛乱」という言葉もあったが,それに倣うならいまや「反知性の暴走」が始まったと言える.メディアではマネーゲームに明け暮れる人物がもてはやされ,エゴイズムの露出も恥ずかしいことではなくなった.
そんな状況に苛立ちをおぼえている人々は「いつか読書する日」(監督/緒方明)でほっと一息つけるであろう.キーワードは平凡.本作がターゲットにしたものは平凡さの奥にしまいこまれた心の刃であり,ズシッと重い.
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