Close-up 転倒予防に活かすバランス評価
ベッドサイドで行う転倒予防に活かすバランス評価
中嶋 俊祐
1
Shunsuke NAKAJIMA
1
1横浜市立脳卒中・神経脊椎センター
キーワード:
ベッドサイド
,
急性期
,
転倒予防
,
バランス評価
Keyword:
ベッドサイド
,
急性期
,
転倒予防
,
バランス評価
pp.1111-1115
発行日 2021年10月15日
Published Date 2021/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202457
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転倒予防に活かすバランス評価
バランス能力の低下は,転倒を引き起こす主要な身体的要因の1つである.そもそも,ヒトを特徴づける二足立位姿勢は,重心位置が高い一方で支持基底面が小さいという構造的な不安定さを有する.それでも,ヒトは環境に適応しながら生活の場を拡大するために必要なバランス能力を獲得してきた.だからこそ,脳卒中などの疾病によってこのバランス能力がいったん損なわれると,転倒リスクはとたんに高まる.この場合,手すりにつかまるなどの手段によって転倒を回避しようとすることが多いが,本稿のテーマであるベッドサイドでは,必ずしも十分な支持物が存在せず転倒リスクの低減は難しい.このような環境であっても転倒を予防しながら自立度を高め,生活範囲の拡大をめざすためには,二足立位姿勢における十分なバランス能力が必要であり,その評価・治療に対して理学療法士が果たすべき役割は大きい.
転倒予防におけるバランス能力の評価には,Berg Balance ScaleやTimed Up and Go Testなどの評価バッテリーが用いられ,転倒リスクとの関係性が検討されている1,2).一方で,急性期のベッドサイドでは,全身状態の変化や安静度による制限,評価を行うこと自体による転倒リスクから,実際にはこれらの評価バッテリーを十分に活用できることは少なく,むしろ,治療を行うなかで患者の運動課題に対する反応を観察・触診することでバランス能力の評価を行うことが多い.
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