一頁講座 リハビリテーション関連用語
wearing off現象,up and down現象,on and off現象
長岡 正範
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1順天堂大学大学院医学研究科リハビリテーション医学
キーワード:
パーキンソン病
,
Lドーパ治療
,
副作用
Keyword:
パーキンソン病
,
Lドーパ治療
,
副作用
pp.1076-1077
発行日 2005年11月10日
Published Date 2005/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100219
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パーキンソン病は,黒質線条体のドパミンニューロンの変性とその結果起こる振戦,無動,筋固縮,姿勢反射障害,自律神経障害を特徴とする疾患である.治療の一つにドパミン補充療法がある.前駆物質であるLドーパ(L-DOPA)の単剤あるいは,LドーパとDCI(ドパミン脱炭酸酵素阻害剤)との合剤が治療に用いられる.経口的に服用されたドパミンは胃・十二指腸で吸収され,血液濃度は服用後上昇する.この血液中のドパミン濃度の上昇に伴って症状の改善がみられる(図).この観察は,診断としても重要である.このようにドパミンの血中濃度の上昇で症状が改善するが,血中濃度の低下で再び症状が明らかになる.このようなパーキンソン病症状の血中ドパミン濃度に依存した変動は,それが顕著な場合,up and down現象と呼ばれる.
Lドーパによる治療開始後数年すると,服薬後2~3時間すると,症状が出現するようになる.当初は,夕方にみられることが多いが,次第に,服薬ごとにみられるようになる.これがwearing off現象(すり減り)である.このように症状が服薬の時間に従って変動する場合,総称してパーキンソン病の運動症状の変動(motor fluctuation)と呼ぶ.十分に効果のみられているときに,舞踏病に類似したジスキネジアあるいはジストニアが不随意運動としてみられることがある.
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