Japanese
English
特集 リスクマネジメント
現場における取り組みの見直しと今後の課題―リスクマネジメントの視点から
Continual improvement of the patient safety program in the healthcare organization.
鮎澤 純子
1
Junko Ayuzawa
1
1九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座
1Health Care Administration and Management, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
キーワード:
事故防止
,
安全管理
,
リスクマネジメント
Keyword:
事故防止
,
安全管理
,
リスクマネジメント
pp.317-322
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100075
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はじめに
いま日本の医療の現場で,かつてない事故防止・安全管理の取り組みが続いている.厚生労働省の医療安全対策検討会議による「医療安全推進総合対策」の発表(2002年4月)1)をはじめ,医療法施行規則の改正(2002年8月,10月),そして「厚生労働大臣医療事故対策緊急アピール」の発表(2003年12月)2)など,医療機関はもとより,行政,学会,医療関連団体,そして企業なども連携した取り組みが少しずつかたちになり,日本の医療安全管理体制が構築されつつある(表1).とは言え,現時点ではまだ,その取り組みや基本的な考え方に関して混乱も多いし,現場の体制は十分に機能しているとは言い難い.
「人は誰でも間違える」,「人を責めない」ということで本当にいいのだろうか.現場の医療安全管理体制として整ったはずの「指針」,「委員会」,「職員研修」,「事故報告等……改善のための方策」は果たして機能しているだろうか.医療の現場に大変な勢いで浸透した「リスクマネジメント」とはそもそも何なのか,事故防止・安全管理とはどこが違うのか.なぜ「リスクマネジメント」でなければならないのか.そして,リハビリテーションの領域で必要な事故防止・安全管理やリスクマネジメントはどのようなものなのか.
急速に進んだ取り組みであればこそ,いま必要なのは,こうした取り組みや考え方,また用語の使い方などの整理であり,見直しである.本稿では,特に現場における取り組みに焦点をあて,その見直しと今後の課題を検討する.
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