連載 私のターニングポイント・第54回
どの時期に,どのメンターを選択するか
髙村 雅直
1
1熊本赤十字病院リハビリテーション課
pp.826
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203527
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遡ること二十数年前,臨床3年目の私は濃霧が佇む臨床海原をひたすらもがいていました.念願の心臓リハビリテーション指導士は取得したものの,ただただ目前の浮かぶ瀬にしがみつき,目標となる島を見出せず,大海原でコンパスを失った軽薄の極みというべき航海士のような日々を送っていました.
しかし,転機は突然訪れます.ふと書店を訪れた際,医学書棚ではない場所に『ブラック・ジャックはどこにいる?』(PHP研究所)というタイトルの本を見つけました.著者は心臓外科医・南淵明宏(以下,ボス).これが人生最大のメンター(以下,師)との出会いでした.何気なく読み始めると吸い込まれていく感触があり,ぜひ会って話がしたい,ただそれだけの理由で著者の勤務先へ電話,アポをとった1週間後に面会しました.当時,年間200件を超える開心術を実施,テレビで医療監修もされ,スタイリッシュな外科医かと勝手に想像していたところ,バリバリの関西弁を操る職人気質の巨人(身長190cm近く)が目前に現れました.「先生,一緒に働きたいです」この一言でその後約17年にわたり苦楽をともにしました.
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