今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
II 不妊の治療 C人工授精
【人工授精の方法】
65.人工授精の実施時期は,hCG投与からどのくらいの時期がベストといえるでしょうか.詳しく教えてください.
西川 明花
1
,
丸山 哲夫
1
,
吉村 泰典
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.540-541
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102054
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子宮腔内人工授精(intrauterine insemination:IUI)において妊娠率を上げるための条件として,なるべく多くの運動精子を子宮腔内に注入することに加え,排卵とタイミングを合わせて授精を行うことが重要である.子宮腔内で受精能力を獲得し,先体反応を起こした精子の生存期間は10数時間であり,排卵し卵管内に取り込まれた卵の生存期間は8~10時間であるとされている1).そのため体内で受精を期待するには排卵の時期にできるだけ一致させてIUIを行う必要がある.
自然周期における生理的なLHサージ開始から排卵までの時間は,1980年のWHOによる多施設研究では24~56(平均32)時間,ほかの報告では36~38時間とされている2).LHサージに擬似したhCG投与も同様であり,Andersenら3)は,クロミフェンにて卵巣刺激を行った32人の原因不明または男性因子による不妊女性に対し,hCG投与後に超音波検査にて卵胞破裂を確認するまでの時間を計測したところ,平均38.3時間(SEM=0.54 : range=34~46)であったとしており,そのほかにも36~38時間で排卵が開始するとの報告が多い.
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