Close-up ナラティヴ
ナラティヴを理学療法に活かす
森下 昇
1,2
Noboru MORISHITA
1,2
1鳥取市医療看護専門学校理学療法士学科
2鳥取大学大学院持続性社会創生科学研究科地域学専攻地域創生コース
キーワード:
地域共生社会
,
ナラティヴ・アプローチ
,
当事者研究
,
sympathyとempathy
Keyword:
地域共生社会
,
ナラティヴ・アプローチ
,
当事者研究
,
sympathyとempathy
pp.219-223
発行日 2024年2月15日
Published Date 2024/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203355
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はじめに
Narrative-based medicine(NBM)は,1998年に英国のGreenhalghらによって提唱された医学/医療の概念である1,2).NBMは,evidence-based medicine(EBM)を補完する概念として一定の関心を集め,本邦では,EBMとNBMは「患者中心の医療を実現するための車の両輪」と理解されている3).
近年,医療構造の急激な変化に伴い,NBMの重要性があらためて注目されている現在,地域共生社会の実現には,障がい者や難病患者をはじめ,あらゆる人々が地域コミュニティの諸活動に参加し,さまざまな役割をもって自分らしく活躍できる条件整備が必要不可欠である.しかし,障がい者などの当事者の多くはコミュニティのなかで孤立し「共生」とは呼びがたい状況にある.真に「地域共生社会」を実現するには,多くの住民が「わがこと」としてこうした現実と向き合えるよう,従来以上に当事者と地域住民との相互理解を深める地域福祉実践や福祉学習が求められる.
そこで本稿では,鳥取大学・八頭町連携事業「語り・学び・de 愛プロジェクト」(以下,本プロジェクト)の一環として,当事者が抱えるさまざまな課題に対して,地域住民の理解促進を試みた研究を紹介する.それを踏まえ,対象者をエンパワメントし,社会参加をめざすために,ナラティヴ・アプローチを理学療法に活かす方法について概説したい.
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